安倍首相は、2018年2月20日の経済財政諮問会議で、人手不足を解消するために「外国人労働者の受入れを拡大する」意向を示し、関係省庁へ指示を出しました。
これを受けての対応の一つと思われますが、2018年4月11日の「日経新聞電子版」に、更なる外国人の受入拡大の記事が掲載されていました。
この記事をベースに検討されている新たな取り組み(案)を紹介します。
日本は他の国に比べ、観光目的は別にして、外国人の受入れ、特に長期滞在・永住や帰化に関しては制限が厳しい国です。
今回の受入拡大の内容を見ると、従来からの「単純労働者の受入れを認めない」方針を言い訳程度に残してありますが、実体に考慮したものになっていると思います。
技能実習後も5年間就労可能に
現在の技能実習制度では、最長でも5年間の技能実習を終えたら母国に帰国して、日本での実習で身に付けたスキルを母国の産業発展に寄与することになっています。
今回の検討内容では、5年の実習が終了したら、一定期間、母国に帰ってその後新しい在留資格で再来日して最長5年間の在留を認めるものです。
・新設する資格:特定技能(仮称)
・専門技能を問う試験に合格すれば、
① 家族の受入れが可能
② 在留期間の更新ができる既存の資格に切り替えることができる
※これまでの技能実習では「永住」につながる「在留期間の更新」は認められていません。
技能実習を起点にハードルは高いですが永住までの道がある点は大きな変革です。
労働力確保の面では大きい
2017年10月末時点で、技能実習生は「約25万人」で、今回の制度は既に実習を終えて帰国している方も対象になるため多くの労働者を確保することができます。
日本の労働人口は「約6600万人」、2017年末時点での外国人労働者数は「約128万人」と過去最高を更新しています。
労働力の50人に1人(2%)は外国人が担う状況ですが、政府は今後外国人の比率を更にあげる方針で進めています。
人手不足が深刻な「介護」「農業」「建設」「製造」などの分野では多くの外国人の力が必要になっています。
なお遠い「永住」への道
現在の永住の取得要件の一つに「引き続き10年以上の在留」があります。
今回の制度では、いったん帰国するために、通算で10年になっても「引き続き」が認められないので永住権を得ることはできません。
先に示した「専門技能を問う試験」に合格する必要など道のりは厳しいものです。
外国人の中には、日本での永住を考えている方が多いと思いますので、更なる緩和も必要ではないかと思います。
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