福岡外国人ビザ申請アシストセンターの太田です。
2018年5月25日、経済産業省貿易経済協力局が「高度外国人材」の力を活用し、業績を伸ばしている「50社」を紹介しています。
九州では、11社(沖縄県が3社)と多く選出されています。
外国人材の採用で得られるメリットを次の4つの視点で分類しています。
(1)事業の海外展開、新規顧客の獲得
外国語に堪能、かつ現地市場をよく知る外国人材を採用し、事業の海外展開や新規顧客・販路開拓
(2)外国人材目線での商品開発・サービス提供
日本人とは異なる新鮮な発想や視点を持つ外国人材が、商品開発に取組み、各国の市場ニーズに合わせた商品・サービスを提供
(3)新たなビジネスモデル構築
海外現地法人と日本法人との時差を利用することで、日本国内と海外で業務の分業体制を構築するなど、新たなビジネスモデルを創出、作業効率も向上
(4)社員の意識変革
外国人材の活動が日本人社員に新たな「気づき」を引き起こし、社員の意識改革や職場環境の改善、生産性の向上へ
各々のメリットについて、九州の選定企業を中心に紹介していきます。
詳細は経済産業省のホームページをご覧下さい。
http://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180525002/20180525002-1.pdf
(1)事業の海外展開・新規顧客の獲得
① 外国人社員の活躍で46か国に販路拡大
*株式会社筑水キャニコム(福岡県うきは市、資本金:1憶円、社員数:278名、外国人:10名)
<事業内容>
農業用・土木建設用・林業用運搬車・草刈作業車及び産業用機械の製造販売
<取組内容>
外国人を採用後、多言語でのマニュアルや海外向けのホームページ作成等のほか、海外に出張し、現地での実演会を通じたマーケティング・商品開発・営業を実施。
<成果>
・取引先が「46か国」に拡大、海外取引が増加し、海外売上高比率は50%に迫る。
・海外拠点・子会社も欧州、アジア、北米7ヶ国に展開。
② 工学系の留学生を採用、海外売上の増加に貢献
*小倉鉄道株式会社(福岡県直方市、資本金:1500万円、社員数:18名、外国人:4名)
<事業内容>
自動車・農業機械などの主要ギア設計、製作
<取組内容>
日本人社員と同様、工場で3~4年以上技術の基礎を身に付けた後、通訳・翻訳や海外顧客など海外業務に配属。
<成果>
・国内にいながら、海外企業への営業活動ができるようになり、海外売上は全体の2割弱から3割弱までに増加。
・外国人社員の、将来の展望をしっかり持って勉強に励んでいる姿勢は、日本人の若手社員への良いお手本になっている。
③ 外国人社員が顧客ニーズに丁寧に対応し海外販路を拡大
*第一施設工業株式会社(福岡県糟屋郡、資本金:1億円、社員数:87名、外国人:13名)
<事業内容>
自動搬送設備及び特殊設備の設計・製作・設置・保守及び産業用ロボット保守)
<取組内容>
外国人社員は語学能力を活かし、アジア各国の顧客との交渉等の営業や展示会での紹介、各現場での施工管理、海外向け案件の設計担当者として業務に従事。
その後、中国企業との交渉を担当する購買部長、中国や台湾の世界的企業との交渉の海外営業課長など、各責任者へ成長。
<成果>
・日本語がわからない海外顧客に対し、技術営業や設計担当者、現場施工監理者として、顧客のニーズに丁寧に対応できることが営業上の強みとなり、海外販路拡大に貢献。
④ 留学生の活躍で「町工場」から「世界企業」へ
*本多機工株式会社(福岡県嘉麻市、資本金:9000万円、社員:145名、外国人:6名)
<事業内容>
産業用特殊ポンプ設計・製造・販売
<取組内容>
・外国人社員は海外営業を担当し、海外ユーザーに現地語で直接応対し、アフターフォローまでを細かに実施。
・管理職に外国人を登用し、外国人社員の能力発揮に向けた環境を整備。
・母国での起業支援のため、「のれん分け」制度を導入し、独立を積極的にサポート。
<成果>
・外国人社員が海外顧客に直接応対し、新規顧客の獲得、仲介業者・中間コストの削減に成功。
・アジア中心に11ヶ国21社の代理店網を形成し、海外売上比率は6割に増加。
⑤ 外国人が海外営業の最前線で活躍
*ケ―ビーソフトウェア株式会社(長崎県長崎市、資本金:1000万円、社員:45名、外国人:6名)
<事業内容>
ソフトウェア開発
<取組内容>
外国人社員は、コンピュータープログラミング、システム開発、工程管理、品質管理、海外向けの企画・営業を担当。
海外事業部門の管理職に抜擢され、後進の外国人社員のロールモデルとして活躍。
<成果>
・Javaの技術者不足が課題だったが、ベトナム人技術者がJava技術を持っていたことで受注につながる等、海外売上高は、2003年と比較すると、全体の約13%まで増加。
⑥ ミャンマー現地法人設立に成功
*株式会社OCC(沖縄県浦添市、資本金:4900万円、社員:200名、外国人:2名)
<事業内容>
情報サービス業
<取組内容>
大学院での研究経験をもとに、希少性の高い「ミャンマー語」の音声合成等の業務案件を担当。
ミャンマーにおけるマーケティングとビジネスの可能性を調査し、同国への進出準備を担当。
<成果>
・2017年9月にミャンマーに海外子会社「ミャンマーOCC」を設立、ミャンマー人社員が代表者に就任。
・海外でのシステム開発拠点に加え、医療関連のシステム構築やサポートなど、現地での需要開拓にも貢献。ミャンマーを拠点に他のアジア地域への展開も目指す。
(2)外国人材目線での商品開発・サービス提供
⑦ 外国人社員による外国人顧客への手厚いサービス
*株式会社三好不動産(福岡県福岡市、資本金:5000万円、社員:396名、外国人:13名)
<事業内容>
不動産売買・賃貸及びその仲介
<取組内容>
外国人社員は、自身の所属部署のほか、「外国人プロジェクト」として、外国人留学生が多い学校への訪問、海外の不動産セミナーや国内の外国人向けセミナーの実施等に従事。
週1回のプロジェクト会議に参加し、業務に取組むことで、自社への貢献を実感。
<成果>
・多言語での対応が可能となり、「留学生が部屋を借りるなら三好」というブランドが確立。
・生きた外国語を話す人がいる国際色のある職場は刺激となり、社員が違和感なく外国人と触れ合い、異文化を吸収し、互いに切磋琢磨する雰囲気が醸成。
⑧ 外国人の想像力が多様なサービスを創出
*九州教具株式会社(長崎県大村市、資本金:6000万円、社員:243名、外国人:21名)
<事業内容>
宿泊・情報通信業
<取組内容>
ホテル事業全般において、様々な外国人が活躍し、外国人目線でのおもてなしを提案。
(フロント、レストラン、清掃、広報、マーケティング等)。
清掃部門では、責任者として作業のスステム化や英語でのマニュアル作成を担当。
<成果>
・外国人目線での情報発信やおもてなし等、彼ら自身が広告塔の役割も果たし企業PRに貢献。
外国人社員が提案した英語で楽しむ茶道体験は宿泊客に好評。
・海外予約サイトの運営やデータ分析に基づいた外国人向け宿泊プランの追加等、積極的な告知活動を実施。
⑨ 外国人社員を中心にインバウンド需要拡大へ
*株式会社シーサー(沖縄県那覇市、資本金:4800万円、社員:120名、外国人:23名)
<事業内容>
ダイビング/マリンスポーツサービス
<取組内容>
外国人社員を中心とするインバウンド課を設置。
外国人客向けの営業・接客に加え、サービス企画についても外国人社員が提案。
<成果>
・外国人客の受入体制やサービス内容の強化により、来客数が大幅に増加。
・外国人向けの観光旅行プランの販売や宿泊施設の開業など、新たな事業にも参入。
⑩ 外国人目線での新たなリゾートウェディング
*沖縄ワタベウェディング株式会社(沖縄県那覇市、資本金:5000万円、社員:230名、外国人:7名)
<事業内容>
挙式サービス事業
<取組内容>
海外顧客の嗜好に合った商品や表現方法等も外国人社員が提案。
香港や台北で開催されるブライダルフェアに受注活動のため参画。
<成果>
・顧客の国の文化を共有する外国人社員が、顧客のニーズを踏まえたサービスを提供することで、顧客満足度が上昇。
・東アジアの顧客のサービス満足度が上昇し、顧客は順調に拡大し、売上割合も増加。
(3)新たなビジネスモデル構築
●ベトナム法人とのリレー式協業体制を構築
*株式会社小金井精機製作所(埼玉県入間市、資本金:8000万円、社員:275名、外国人:28名)
<事業内容>
自動車航空機等部品製造業
<取組内容>
精密加工部門の社員の10%(20数名)がベトナム技術者、機械加工・三次元測定・プログラム作成等を担当。
ベトナム人技術者2名を主任に登用。日本人の若手社員の指導も実施。
エース的な存在であったベトナム人技術者が帰国し、2014年にベトナムに現地法人を設立。
<成果>
時差の関係で、ベトナムの現地法人は、日本より2時間遅れて始まる。このため、日本で時間内に終えられなかった業務をベトナム法人が肩代わりで実施。
・ベトナム人技術者の技術力向上により新規設備の導入が可能になり、新規顧客の拡大・売上増にも貢献。
(4)社員の意識変革
⑪ 「長崎から世界へ」の実現に外国人を活用
*亀山電機株式会社(長崎県長崎市、資本金:2100万円、社員:86名、外国人4名)
<事業内容>
情報通信業・サービス業
<取組内容>
外国人社員は、主に海外向けの営業、設計、現地調整等に従事。
海外顧客との連絡窓口として、海外取引、契約業務(契約書作成、弁護士との打合せ等)で活躍。
<成果>
・外国人社員の勤勉さや積極的に日本語に挑戦する姿勢に触発され、日本人社員も英語に対する意欲が向上。
・社内の英語に慣れ親しむ機会の創出と、異文化への理解度が増すことで、「海外への挑戦」に邁進する環境が醸成された。
● 企業文化に新しい風
*株式会社セントラルユニ(東京都千代田区*北九州市に工場有り、資本金:9000万円、社員:296名、外国人:4名)
<事業内容>
医療設備製造・販売
<取組内容>
外国人社員は海外案件の対応やショールームでの外国人顧客対応などに従事。
日本人とあえて区別しない、特別扱いしないことで、業務内容・仕事のやり方に目線を合わせ、日本人スタッフと一体感を持ち業務を行っている。
<成果>
・人生経験、多様な考え方を持つ外国人を経営理念「人間尊重」の文化に取り入れることで、そこで働く従業員が、既成概念を壊すきっかけとなり、多様な人々を受入れ、活かす必要性に気付いた。
以上、積極的に外国人材を雇用し、成果を上げている企業を紹介しました。
成果を上げている企業は、単なる労働力不足の穴埋めではなく、外国人の特性を活かし、海外進出、海外顧客の開拓、新製品・サービスの開発を行っています。
当センターでは、現在、幾つかの国の送出機関や人材派遣会社などと連携して「高度外国人材」を呼び寄せる仕組み作りを行っていますので、外国人材のご採用をお考えの企業はぜひご連絡下さい。
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