昨年12月に「出入国在留管理庁」から「2019年版出入国管理(白書)」が発行されています。
主な記事について数回に分けて紹介します。*今回は8回目
今回は、次の2つの施策に関して「施策の項目」と「キーワード」を紹介します。
● 2018年12月25日:「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」
● 2019年 6月18日:「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の充実」
「日本社会と外国人の『共生』」を目指すために、主に次の観点の施策が盛り込まれています。
(1)日本社会の受入れ体制の整備・支援の施策
・生活面の支援 ・就労の支援 ・日本語教育の充実 など
(2)現状課題が多い「留学」と「技能実習」の適正化
(3)悪質ブローカーの排除、在留資格審査の厳格な運用
具体的な内容を以下に示します。
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策
外国人との共生社会の実現に向けた意見聴取・啓発活動等
1 国民及び外国人の声を聴く仕組みづくり *『国民の声』を聴く会議
2 啓発活動等の実施 *「心のバリアフリー」の取組の推進
生活者としての外国人に対する支援
1 暮らしやすい地域社会づくり
(1)行政・生活情報の多言語化、相談体制の整備
*「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」(全国約100ヶ所、11言語)
*「生活・就労ガイドブック(仮)(11言語対応)
*多言語音声翻訳システムのプラットホームの構築
*多言語音声翻訳システムの利用促進
(2)地域における多文化共生の取組の促進・支援
*地方公共団体の先導的な取組への交付金支援
*外国人の支援に携わる人材・団体の育成とネットワークの構築
2 生活サービス環境の改善等
(1)医療・保健・福祉サービスの提供環境の整備等
*電話通訳、多言語翻訳システム
*(地域の基幹的医療機関)医療通訳、院内案内図の多言語化
(2)災害発生時の情報発信・支援等の充実
*気象庁HP、Jアラートなどの多言語化
*外国人に分かりやすい表現:地図情報、警告音等
(3)交通安全対策、事件・事故、法律トラブル、人権問題、生活困窮、等の相談
*運転免許学科試験等の多言語対応
*「110番」、事件・事故等現場における多言語対応
*消費生活センター、法テラス、生活相談等の多言語対応
(4)住宅確保のための環境整備・支援
*賃貸人・仲介業者向け「実務対応マニュアル」、外国語版の契約書の普及
*外国人向けの住宅確保の施策
(5)金融・通信サービスの利便性の向上
*外国人の口座開設の環境整備、多言語化の推進、ガイドライン整備
3 円滑なコミュニケーションの実現
(1)日本語教育の充実
*日本語教室の全国展開
*多言語ICT学習教材の開発、放送大学の教材・NHK日本語教育コンテンツの活用
*夜間中学の設置促進
*日本語教育の標準等の作成(日本版CEFR)
*日本語教師のスキルを証明する新たな資格の整備
(2)日本語教育機関の質の向上・適正な管理
*質の向上を図るための告示基準の厳格化
*定期的な点検・報告の義務付け
*日本語能力に関する試験結果等の公表義務・情報開示の充実
4 外国人児童生徒の教育等の充実
*教員、支援員の確保・配置への支援
*地方公共団体が行う外国人児童生徒等への支援体制整備
*教員等の資質能力向上への支援
*地域企業やNPO等と連携したキャリア教育支援、就学機会の確保
5 留学生の就職等の支援
*専修学校修了者の就職促進のための在留資格の整備
*中小企業等に就職する際の在留資格変更手続きの簡素化
*留学生の就職率の公表の要請
*介護人材確保のための留学・日本語学習支援の充実
*日本語レベルを踏まえた多様な採用プロセスの推進
*産学官連携による採用後の支援(人材育成・待遇)
6 適正な労働環境等の確保
(1)適正な労働条件と雇用管理の確保、労働安全衛生の確保
*労働基準監督署・ハローワークの体制強化
*外国人技能実習機構の体制強化
*「労働条件相談ほっとライン」の多言語対応
*「外国人労働者相談コーナー」などの多言語対応の促進・相談体制の拡充
(2)地域での安定した就労の支援
*ハローワークにおける多言語対応の推進
*地域における再就職支援
*職業訓練の実施
7 社会保険への加入促進等
*法務省から厚生労働省への情報提供
*医療保険の適正な利用の確保
*納税環境の整備
外国人材の適正・円滑な受入れの促進に向けた取組
1 悪質な仲介事業者等の排除
*二国間の政府間文書の作成(9ヶ国)とこれに基づく情報共有の実施
*各関係機関の連携強化による悪質ブローカーの排除
*入国審査基準の厳格化・在留諸申請における記載内容の充実
2 海外における日本語教育基盤の充実等
*日本語能力判定テストをCBT(Computer Based Testing)により実施
*海外の日本語教育基盤強化(現地教師育成、現地機関活動支援)
*在外公館等による情報発信の充実
新たな在留管理体制の構築
1 在留資格手続の円滑化・迅速化
*オンライン申請の開始
*標準処理時間(2週間~1ヶ月)の励行
2 在留管理基盤の強化
*法務省・厚生労働省の情報共有
*公的統計の充実・活用
*出入国在留管理庁の創設に伴う管理の強化
3 不法滞在者等への対策強化
*警察庁、法務省、外務省等の関係機関の連携
*技能実習に係る失踪者情報等の収集・分析
外国人材の受入れ・共生のための総合的対策の充実
上記の施策を実現するために、より詳細な施策を提示しています。
*白書に記載の施策内容を転記します
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