昨年12月に「出入国在留管理庁」から「2019年版出入国管理(白書)」が発行されています。
主な記事について数回に分けて紹介します。*今回は9回目
今回は、「不法残留者」と「退去強制手続きを行った入管法事件」の状況について紹介します。
なお、「不法就労の状況」は、次号で紹介します。
不法在留者の状況
外国人の就労者の増加、留学生の増加および観光目的の入国(短期滞在)の増加に伴って、不法に日本に在留している外国人数が増加しています。
国別・地域別の不法残留者数の推移
・ベトナムは、技能実習生、留学生の増加により、不法在留者が増加しています。技能実習生はさまざまな理由で失踪者になった者、留学生は退学になった者が、引き続き日本に在留しているためと推察しています。
・韓国、中国は、観光目的で日本に入り、帰国しないで日本に在留していることによるものが多い結果と思います。
在留資格別不法在留者数の推移
人数的には、観光等の目的で日本に入国し(短期滞在)、期限が来てもそのまま日本に在留している場合が「60%以上」を占めています。
技能実習生、留学生の増加により、これらに関係する不法在留者が大きく増加しています。
退去強制手続きが行われた入管法違反事件
入管法違反者は、2005年以降、減少の一途でしたが、近年、査証免除措置の実施等により、新規入国者が増加し、それに伴い不法在留者数も増加したことなどが一因となり、4年連続で増加しています。
退去強制事由別入管法違反事件の推移
退去強制事由別に見ると、不法残留「14,353人」(88.2%)が圧倒的に高い割合を占めています。
国・地域別入管法違反事件の推移
前述のように、技能実習生と留学生の伸びで、ベトナム、タイ、インドネシア、ネパールの伸びが多くなっています。*ウズベキスタンの急増は不明
現在(2020年5月)、「新型コロナウィルスの感染拡大」により、出入国がほとんど止まっている状態です。日本にて「在留期限が切れている状態」でも、特例により日本に在留することができる状態です。
また、日本の産業活動の停滞により、「外国人材の解雇」や「留学生の内定取り消し」などの動きもあり、「不法滞在」が増える可能性があります。
一方、観光目的で来る外国人は皆無になっていますので、これに伴って「不法入国」「不法滞在」は大幅に減少するものと思われます。
「コロナ終息後」の外国人の状況に関しては、注視していく必要があると感じています。
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