「新型コロナウィルスの感染拡大(コロナ危機)」の影響により、日本をはじめ各国の「外国人労働者」の状況が大きく変化しています。
今回は、2020年7月1日の日本経済新聞の記事から中東への出稼ぎの現状から、人材を送り出している国について紹介します。
中東、出稼ぎ100万人流出へ
東南アジアから中東の湾岸産油国へ働きに出ている人は多くいます。
中東では「コロナ危機」と「原油価格の低迷」で雇用環境が急速に悪化しています。
コロナ危機の影響で、UAEでは90万人、サウジアラビアでは120万人の雇用が消失したと記載されています。
これにより、各湾岸産油国の政府は自国民の仕事を守ることを優先し、その分外国人労働者にしわ寄せがきています。
ただし、低賃金の単純労働は、自国民に人気がなく、置き換えが政府が思うとおりに実現するかは不透明な状況です。
湾岸産油国の労働力の構成を示します(日経新聞から抜粋)
湾岸産油国では、労働力の多くを外国人が占めています。そのうち、60~70%が、インド、パキスタン、フィリピン、スリランカなどのアジア出身者です。
こうした「出稼ぎ外国人」は、「労働力が不足する湾岸産油国」と「資本が不足するアジアの国」との間のミスマッチを埋め、両地域の経済を支えてきました。
送出し国の影響
今回の湾岸産油国からの大量帰国は、その母国に大きな影響を与えることが予測されます。
送出し国も「コロナ危機」の影響で雇用環境が悪化しているところに多くの求職者が加わり、更に雇用環境が悪化します。
更に、帰国者が新型コロナウィルスに感染していれば、脆弱な医療システムが更に影響を受ける可能性があります。
また、送出し国にとっては、海外からの送金は国の財政面で支えになっています。
世界銀行が公表している「中低所得国への送金」状況を示します。
2020年は、前年に比べて送金額が約20%減少すると予測しています。
労働者の大量帰国は、コロナ危機が引き起こす「グローバル化の逆回転」の象徴的な現象です。
この状態を放置すると、湾岸産油国と送出し国の両方が経済的なダメージを受けることが明白ですが、両方共に自国の問題への対応で手一杯な状況です。
日本の状況
日本でもコロナ危機の影響で、工場の生産を縮小したり、飲食店の営業自粛などで、失業や休業が増えています。
湾岸産油国と同様に、外国人労働者が解雇されている情報も入っています。
特に雇用の調整に使われていた「人材派遣」や「留学生のアルバイト」の面で影響がでています。
一方、コロナ危機の影響で予定していた「技能実習」や「特定技能」の人材が来日できなく、建設業や農業・漁業などで人手不足で困っているところもあります。
現在は、コロナ危機の影響で、一時的に人手が余っている状況にも見えますが、次の図(2020年7月2日・日経新聞電子版)に示すように日本の生産年齢人口(15歳~64歳)は減少の一途をたどり、外国人材に頼るしかないのは明白です。
外国人材が必要になった時に、「必要な人材が日本に来てくれるか?」が重要な課題になります。
この点は、別途紹介する予定です。
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