昨年(2019年)6月に、日本語教育を推進することを目的として「日本語教育の推進に関する法律(日本語教育推進法)」が施行され1年が経過しました。
現在、新型コロナウィルス感染拡大の影響で外国からの入国が制限され、それにより在留する外国人数は増えていませんが、少子高齢化による日本人の働き手の減少は改善されていませんので、企業での外国人の採用は今後も増えてくると予測しています。
当社への人材募集の依頼でも、「介護」「建設業」「製造業」「食品加工業」など、日本人従業員が集まらない業種からの相談が多く入っています。
企業での外国人の雇用が増えてくると最大の壁は「言葉、日本語でのコミュニケーション」です。
日本語教育推進法では、日本語教育を推進する責務を負う者として、「国」「自治体」「事業者」の3者を明示しています。
また、学習支援対象として、5つの対象を設けています。
(1) 幼児、児童、生徒 等
(2) 留学生 等
(3) 被用者 等 (働く外国人スタッフ)
(4) 難民
(5) 地域在住のみなさん
ここでは、外国人の就労を主に支援している当社にとっては(3)の被用者等(働く外国人スタッフ)について記載します。
外国人の被用者等に対する日本語教育
日本で働く外国人労働者数は2019年には「約166万人」となっています。
日本で働くに当たっては、業務上必要となる専門的な日本語の他、職場において日本語で意思疎通を図ることができるよう、生活に必要な日本語を身につけることが必要であるとしています。また、職場等における効果的なコミュニケーションのため、受入れ側の環境変化を図ることが重要であり、このため、「職務に関連した日本語」及び「専門分野に関する日本語」や「生活に必要な日本語」を学習する機会の提供等の措置を講ずるとしています。
国・自治体の支援施策
事業者等がその雇用する外国人に対して、職務に関連した専門的な知識・技能を習得するための職業訓練として専門的な日本語の習得を実施する場合の支援を行う。
就労者及びその家族を含む外国人等の日本語教育課程を強化するため、都道府県及び指定都市が行う地域日本語教育の総合的な体制づくりを推進する。また、就労者及びその家族を含む外国人等に対する地域における日本語の学習機会を確保するための取組み及びICTを活用した遠隔教育等の先進的取組みを支援する。
現状の問題点
企業と日本語教師の意識のずれ
日本語教育推進法の施行により、「日本語教師」の育成に関しては体制ができつつあります。
ただし現状では、日本語教師が教える内容は企業が求めている内容とずれがあり、企業側にとって「お金を支払ってもそれに見合う成果(外国人の職場で役立つ日本語能力の向上)」が出ていないと感じています。
外国人を雇用している企業がこの法律の存在を知らない
法律では、先に示したように、「事業者」は「日本語教育を推進する責務を負う者」と示されています。
目的を持って外国人材の活用に取り組んでいる企業では、独自に工夫をして、「業務・職場に合った日本語教育」を進めているところもあります。
例えば、「技能実習生」が中心になって、母国語の「作業マニュアル」を日本人スタッフと対話をしながら取り組んでいるところがあります。
一方、単なる作業者として、簡単な指示だけで行っているところもあります。
外国人就業者の日本語能力が向上することにより、恩恵・利益を得るのは「企業」です。目先だけでなく長期的に利益を得るためには「正しい方向性」と「外国人材を含めた従業員のレベル向上」が必要です。
当社は、「企業への外国人材の紹介」とこれに伴う「各種の手続き(在留資格の取得など)の支援」を行っています。
現状は、就職されてからのフォローに関しての取組みは積極的に取り組んでいません。
今後、企業側の課題、外国人材側の課題をより詳細に把握して、その解決策について検討を進めたいと思っています。
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