外国人就労者、留学生の増加により、日本人と外国人の結婚(国際結婚)が増え、両者の間に子どもが誕生することが増えています。テニス、バスケット、ゴルフ、相撲など、日本人と外国人の間に生まれた方の活躍も多くなっています。
当社にも様々な「国際結婚」の相談があり、その中にはお子様が誕生しているケースもあります。
そのお子様の「国籍」がどうなるのか?両親の国籍や生まれた場所(国)によって幾つかのケースがあります。
大きく分けると国によって、「血統主義」と「出生地主義」があります。
血統主義
父母両血統主義
*日本・中国・韓国・タイ・フィリピン・スペインなど
子が出生した国に関係なく、父または母の国籍を取得。日本では両親のどちらかが日本人なら海外で出産しても日本の国籍が取得でき、子は「二重国籍」となる場合がある。
父系血統主義
*イラン・イラク・エジプト・モロッコ・スリランカなど
子が出生した国に関係なく父親の血統を優先し、出生した子は父親の国籍を受け継ぐ。
出生地主義
*アメリカ・カナダ・パキスタン・ブラジル・バングラデシュなど
両親の国籍とは関係なく、生まれた国の国籍を取得できる。
父母両系血統主義+出生地主義
*ロシア・イギリス・ドイツ・バングラデシュなど
基本的には出生地主義や血統主義を採用しているが、条件付きで父母系血統主義と出生地主義を併用。
無国籍になる可能性?
血統主義と出生地主義の違いに起因して「無国籍」になる可能性もあります。
出生地主義のみを採用している国の国籍を持つ両親が、血統主義のみを採用する他の国で子どもを産んだ場合、その子は両親の国の国籍も、出生国の国籍も得ることができません。
子どもの出生に係る国籍の問題については、両親や出産する国の国籍法が深く関わってくるので、手続きや例外的なルールがないかをあらかじめ確認しておくことが重要です。上記に示した国籍の定義取得は決められた手続きを行った場合に有効になりますので、手続きを怠ると後々問題になる場合があります。
日本は二重国籍を認めていない
日本は二重国籍を認めておらず、どちらかの国籍を選択しなければなりません。
<国籍法14条1項>
外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなった時が二十歳に達する以前であるときは二十二達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
子どもの人生にとって、「国籍」がどこかは非常に重要になります。法律をよく理解して、子どもの身になって考えた行動を取ることを願っています。
本記事は、福岡県行政書士会が発行している会報(2020年9月号)の記事から抜粋して紹介しました。
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