2021年1月末に厚生労働省から、「2020年10月末時点」の『「外国人雇用状況」の届出状況』が公表されています。「新型コロナウィルス感染拡大(コロナ禍)が外国人の就労にどのような影響を与えているか」について、まとまったデータとしては初めてになりますので報告します。
外国人労働者の推移
外国人労働者数は「1,724,328人」。
前年比で「65,524人(4.0%)増加」し、過去最高を更新しましたが、増加率は前年の「13.6%」から大幅に低下しました。
産業別にみると、「宿泊業、飲食サービス業」等において対前年増加率が低下しています。
コロナ禍の影響で減少するかと思っていましたが、帰国できなくて引き続き働いている方(特に技能実習生)がいらっしゃることで減少にならなかったと思われます。
前年よりも減っているのは「資格外活動」で、これは新規の留学生が来日できなかったことと、飲食店の採用が減ったことによることが考えられます。
なお、2019年4月に創設された「特定技能」の労働者数は「7,262人」で、本格的な活用は進んでいません。
国籍別の状況
<労働者数が多い上位3ヶ国>
1位:ベトナム 443,998人(全体の25.7%) *前年:401,326人
2位:中国 419,431人( 同 24.3%) *前年:418,327人
3位:フィリピン 184,750人( 同 10.7%) *前年:179,685人
<増加率が高い上位3ヶ国>
1位:ベトナム 443,998人(前年比:10.6%増) *前年:401,326人
2位:ネパール 99,628人( 同 : 8.6%増) *前年: 91,770人
3位:インドネシア 53,395人( 同 : 4.0%増) *前年: 51,337人
事業所規模別の状況
「30人未満事業所」が最も多く、事業所全体の「60.4%}、外国人労働者全体の「35.8%」を占めています。
事業所数はどの規模においても増加しており、特に「30人未満事業所」では、前年比で「11.3%」の増加であり、会社規模別では最も増加率が大きくなっています。小規模の事業所ほど、人手不足が深刻になっていることが推測されます。
産業別の状況
外国人労働者、外国人労働者を雇用する事業所ともに、「製造業」最も多い。「製造業」は、外国人労働者数全体の「28.0%」、外国人を雇用する事業所全体の「19.3%」を占めています。
「建設業」「卸売業・小売業」「医療・福祉」などでは、外国人労働者数、外国人労働者を雇用する事業所数ともに増加しています。
一方、外国人労働者数の対前年増加率をみると
・宿泊・飲食サービス業 :-1.8%(前年比13.4ポイント減)
・サービス業(他に分類されない): 3.9%(同 11.7ポイント減)
・製造業 :ー0.3%(同 11.6ポイント減)
・卸売業・小売業 : 9.2%(同 5.0ポイント減)
と、産業ごとに異なるもののいずれも前年と比較して低下しています。
(参考)総人口、最多の42万人減 *外国人流入6割減
*2021年2月4日 日本経済新聞から抜粋
新型コロナウィルス禍で日本の人口減少が加速している。
総務省がまとめた2020年の減少数は概算で「42万人」と過去最大だった2019年の「32万9千人」を上回った。
少子高齢化による自然減少を補ってきた外国人の入国が、新型コロナウィルス感染拡大を防ぐ入国制限などにより、7月までの前年同期比で6割も減少している。
近年の日本の人口は大幅な自然減の一部を外国人入国者が補う構図が続いてきた。飲食店やコンビニエンスストア、製造業や建設業などの人手不足を和らげてきた。
ドイツ証券の試算によると、2013年から2020年までに国内の就業者は「約300万人」あまり、外国人労働者は「約100万人」増えた。増加分の3割ほどを外国人が占める。第一生命経済研究所の星野卓也氏は「外国人の流入が滞ったままだと、人手不足は直ぐに深刻化する」とみる。
コロナ禍で企業活動が打撃を受けても、産業全体をみれば人手不足感がなお残っている。
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