2008年に政府から、2020年までに「留学生30万人」計画が提唱され、それに伴って、外国人を受入れる日本語学校や専門学校が新規に開校しました。学校によっては、少子化により学生数が減るために生き残りをかけて外国人にターゲットを絞ったところもあります。
この施策により、2019年には、「31万2,214人」と目標を達成しました。一方、留学とは名ばかりで就労(アルバイト)目的の「出稼ぎ留学生」が増えたことも問題として指摘されています。
留学生の推移
今回の「新型コロナウィルス感染拡大」の影響により、入学が決まっていても来日できないなどの点で外国人留学生は8年ぶりに減少しました。
次のグラフは、「日本学生支援機構」がまとめた外国人留学生数の推移です。
2020年5月1日時点で日本の大学や日本語学校などに在籍する外国人留学生が「27万9,597人」で前年から約1割減少しています。この留学生の中には来日ができず、海外からオンラインなどで授業を受けた学生2万人程度も集計に含んでいます。
学校別留学生数
大学と日本語学校の減少が大きくなっています。専修学校はほぼ横ばいですが、元々在留していた日本語学校生が入学したものと推測されます。日本語学校が減少していることは、1年後、2年後の専修学校、大学の入学者数が大きく減少することが予測されます。そのため、経営的に厳しくなる学校がでてくる可能性があります。
国別の留学生数
出身国・地域別の上位5ヶ国は例年と同じですが、各国とも留学生数は減少しています。特に近年増加が著しいベトナムの減少が大きくなっています。
今回の「新型コロナウィルス感染拡大」による入国制限で、留学生が日本に来れなくなっていて、進学を諦めるケースも増えています。
留学生の減少は、今後次の面で影響が出てくることが予測されます。
・外国人留学生に依存している学校の経営状態の悪化
・留学生アルバイトに依存している企業の人手不足
・外国人の採用を検討していた企業の人手不足(特定技能人材)
2021年に入り、第2回目の非常事態宣言が発令され、外国からの入国が大幅に制限され、非常事態宣言は解除されましたが、その後、変異種等による感染の拡大で、外国からの入国の目処が立っていません。これにより、今春に入学を予定されていた方も来日できていない状況です。
「留学生30万人計画」で外国人留学生が増える前提で進めてきたことに関する見直しが必要になっています。
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