入管白書(2020ー10*最終)~不法就労等の状況~

入管白書から

昨年12月に「出入国在留管理庁」から「2020年版出入国管理(白書)」が発行されています。

主な記事について数回に分けて紹介します。*今回は10回目(最終)

 

今回は、最終号として「不法就労」と「資格外活動違反」の状況について紹介します。

 

不法就労の状況

2019年中に退去強制手続きを行った入管法違反者のうち、不法就労していたことが認められた者は「12,816人」(66.1%)であり、我が国に潜伏する入管法違反者の多くが不法就労している状況です。

このような状況は、不当に安い賃金で働く不法就労者が日本人労働者の雇用機会を奪うことになるなど、公正な労働市場を侵害するとの指摘もなされているほか、不法就労先を斡旋するブローカーが不当に多額の利益を得る一方で、不法就労者が賃金を搾取されたり、労働災害に遭っても十分な補償が受けられないなどの人権上の問題も発生しています。

なお、2010年7月1日に施行された改正入管法では、不法就労者を雇用するなどの「不法就労助長行為」を退去強制事由として規定しており、出入国在留管理庁では不法就労を助長する外国人の取り締まりを進めています。

 

国別・地域別の不法就労事件の推移

不法就労者の国籍・地域は、近隣アジア諸国を中心として「55ヶ国・地域」に及んでおり、依然として多国籍の者が不法就労している状況です。

国籍・地域別に見ると、ベトナムが「4,941人(38.6%)」で最も多く、次いで、中国「3,155人(24.6%)」、タイ、インドネシア、フィリピンの順になっていて、この上位5ヶ国で全体の「93.0%」を占めています。

ここ数年、ベトナムが、技能実習生・留学生の増加に伴い、不法就労者が増加していて、2019年は中国を抜いて最も多い国になりました。

 

 

就労内容別不法就労事件の推移

就労内容別では、農業従事者が「2,904人(22.7%)」と最も多く、次いで、建設作業者「2,569人(20.0%)」、工員「2,454人(19.1%)」の順になっています。人手不足が深刻化している業種が多く、人数も増えています。

 

資格外活動事件

 

「資格外活動違反」の原因

「資格外活動」は主に留学生のアルバイトに認められている制度です。

通常は、週28時間、就労することができます。

この制度の違反としては次の2点があります。

1 「資格」がなくなったのに働いている

「退学」になり、在留資格としての「留学」を喪失したのにそのまま日本に留まり働いている場合です。

2 規定時間以上に働いている

留学生の中には、アルバイトの掛け持ちを実施し、1つのアルバイトでは「28時間」を守っていますが、トータルでは超えている場合があります。雇い入れる側の確認が不十分な場合もあり、状況によっては雇い主も罰せられる場合があります。

 

国籍・地域別資格外活動事件の推移

留学生が多い「ベトナム」が圧倒的に多いです(全体の52.5%)。ただし、2019年は2018年に比べて総数で221人減少し、約半数になっています(対前年比53.5%)。

「資格外活動」違反に関しては、最近、出入国在留管理庁の取り締まりが厳しく、「在留期間更新申請」の際に、前年度の収入の確認等を行い、「時間オーバー」が認められない場合、留学期間が残っていても「不許可」になる事例が増えていると感じています。

また、留学生が試験で「特定技能」の資格を取得したにもかかわらず、留学時にアルバイト時間が多く、資格外活動違反で不許可になる事例もあります。

 

 

現在(2021年6月)、「新型コロナウィルスの感染拡大」により、出入国がほとんど止まっている状態です。日本にて「在留期限が切れている状態」でも、特例により日本に在留することができる状態です。

また、日本の産業活動の停滞により、「外国人材の解雇」や「留学生の内定取り消し」などの動きもあり、行き先がなくなった外国人材の「不法就労」が増える可能性があります。

「コロナ終息後」の外国人の状況に関しては、注視していく必要があると感じています。

 

以上、10回にわたり、「2020年版 出入国在留管理(入管白書)」の主な点を紹介してきました。

1年遅れになりますが、日本での外国人の状況がよくわかりますので、興味がある方はぜひ一読して下さい。

 

入管白書の ホームページはこちら

 

 

 

 

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