主に就労系の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」「技能」「経営・管理」など)を持っている外国人が「配偶者」や「子ども」を「家族滞在」の在留資格で日本に呼び寄せて、一緒に暮らしている方が多いと思います。
家族滞在の資格を持つ「子ども」が高校を卒業して、日本で働く場合に得られる在留資格は以前よりも要件が緩和されています(2020年に緩和)。
その子どもの日本での在留歴(学歴)によって、「定住者」か「特定活動」のどちらかが取得できます。
緩和の経緯・内容
「家族滞在」の在留資格で育ったお子さんが日本の会社に就職しようとする場合、大学や専門学校卒業でないと働くことが可能な在留資格に変更することができず、高校を卒業して就職しようにも働ける在留資格に変更できないという問題が指摘されていました。
そこで、2015年より日本で義務教育の大半を受けた方などについては、高校卒業後「定住者」や「特定活動」への変更が許可されるようになりました。
しかし、この取り扱いでは高校から日本に来た方については認められず、また、中学校から日本に来てる場合に認められる「特定活動」については、父母との同居が条件とされるなど、要件の厳しさが指摘されてきました。
そこで2020年に見直しが行われ、「家族滞在」から「定住者」「特定活動」への変更の要件が以下の通りとなりました。
●「定住者」への変更要件
- 我が国の義務教育(小学校及び中学校)を修了していること(小学校入学・編入から中学校卒業まで在学)
※中学校は夜間中学を含む - 我が国の高等学校等を卒業していること又は卒業見込みであること
※定時制及び通信制を含む - 入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格をもって日本に在留していること
※「家族滞在」以外の在留資格でも、「家族滞在」の在留資格該当性があれば可 - 入国時に18歳未満であること
- 就労先(週28時間以上)が内定していること
- 住居地の届出等、公的義務を履行していること
●「特定活動」への変更要件
- (義務教育終了の要件はなし)
- 我が国の高等学校等を卒業していること又は卒業見込みであること
※高校に編入している場合は、卒業に加え日本語検定N2が必要 - 扶養者が身元保証人として在留していること
- 上記3~6
●主な要件見直しのポイント
①小学5年・6年から日本の小学校に編入→以前は「特定活動」、今回「定住者」に。
②高校入学から、または高校編入でも卒業すれば「特定活動」がもらえる(高校編入はN2合格も必要)。
③「特定活動」への変更の場合、扶養者との同居が条件だったが、扶養者が日本にいればよいこととなった。
④扶養者は必ずしも父または母でなくてもよい。
⑤「家族滞在」の在留資格該当性があれば、他の在留資格(「留学」など)でもよい。
以上を図で示すと次のようになります。*法務省のホームページより
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の取得
高等学校卒業では、「技術・人文知識・国際業務」等の就労可能な在留資格を得るための要件を満たすことはできませんが、卒業後「特定活動」として就労した経験は、就労の実務年数にカウントすることができます。
最終学歴が高卒(日本の高校を卒業)の外国人であっても、この「特定活動」での実務経験を積むことで、その後「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更が認められる可能性があります。
日本に住む外国人の方は、自分の子どもの先行きを心配されることと思います。不明点は、ぜひ、ご相談下さい。
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