2021年8月10日現在、日本では、緊急事態宣言が発令されているにもかかわらず、デルタ株の感染力の強さや人流を抑え切れていないことなどから、新型コロナウィルス「第5波の感染拡大」が続いています。一方、世界的にワクチン接種が進み、これにより、各国は入国のルールについて再検討を行っています。
8月6日の日本経済新聞に各国のワクチン接種者の入国に関する動向が記載されていましたので紹介します。
ワクチン接種の証明書があれば入国ができるか?
EUは積極的に受入れを推進
EUは7月から「デジタルCOVID証明書」の本格運用に着手しました。EU域内などでは国境を越えても証明書のQRコードを示すだけで自主隔離や検査を免除されます。
米国はワクチン接種証明書で入国可能に
米国は入国制限の対象国かどうかにかかわらずワクチン接種済みなら入国を認める検討を始めました。
米国がこの制度を導入すれば、日本をはじめ現時点で入国制限を課されていない国から米国を訪れる外国人にとっては、新たな入国要件が課されることになります。仕事で米国に行く場合、新型コロナの陰性の証明を取ってもワクチン接種がなされていない場合は入国できないことになります。
米国のこの検討は「国際的な往来は重要で、安全で持続可能な方法で往来を再開したい」という考えで検討されています。
日本はワクチン接種にかかわらず14日の隔離
日本の水際対策は世界でも厳しい部類に入ります。全入国者に入国から14日間は自宅などで待機するように求めています。厚生労働省では現時点では、「前例がない」こともあり、ワクチン接種による条件の緩和は検討されていません。
一方、政府は7月26日に「海外出国者向けの接種証明書」の受付を開始しました。外務省には「ワクチン接種は国際的な人の移動の再開につながる重要な手段になり得る。国内外の議論の動向を見ながら政府内で検討していくべきだ」との意見もあります。
現在の海外との往来
現在は全く往来が止まっているわけではありません。「日本人」や「日本の在留資格を持っている外国人」は、14日の隔離処置はありますが、入国できないわけではありません。
ただし、留学生や技能実習生の来日はできない状況が続いています。
また、技能実習の終了、学校卒業(留学終了)で本来ならば、母国に帰国しなければならない方が、「特定活動」や「短期滞在」の資格で日本に留まっています。帰れないわけではありませんが、航空運賃が5倍以上(以前は5万円が30万円)、入国時の隔離などで実質は帰れない状況になっています。
技能実習生や特定技能人材が入国できないことにより、労働力不足に陥っている企業もあり、企業間の人の取り合いも起こっています。
現在の状況では、海外との往来がコロナ禍以前に戻るのは年内は難しく、早くて来年の春以降になると思われます。往来が再開されると、海外からの待機組の一斉入国、国内にいる帰国困難の外国人の出国などでかなりの混乱が予測されます。
外国人を採用あるいは採用予定の企業では、政府の対応、関係国の対応を注視し、変化が生じた場合に混乱を少なくできるような事前準備が必要になります。
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