外国人の就労「無期限に」~特定技能制度の拡充~

特定技能

2021年11月18日の日本経済新聞の記事によると外国人の日本での就労資格を主管している「法務省の出入国在留管理庁」が外国人の就労に関して大幅な見直しを検討していることが掲載されています。

まだ庁内での検討段階ですが、これまでの外国人材活用の制度検討の流れから、当社ではこの方向で進められると推察しています。

 

特定技能制度の拡充

現在の特定技能制度では、「建設」及び「造船・舶用工業」以外の11業種(介護は除く)は、就労期間が5年限定の「特定技能1号」しか認められていませんでした。

*介護は「介護福祉士」の取得等で永住までの道筋はあります。

今回の検討では「特定技能1号」しか認められていない「11業種」に関しても「特定技能2号」を認めることです。これを図に示すと次のようになります(新聞の図を転記)。

「特定技能1号」から「特定技能2号」への移行は、試験合格が条件になりますが、「特定技能2号」の在留資格を取得できれば、在留資格の更新が可能になり、永住許可など長く日本で働くことが可能になります。

 

 

この制度変更が与える大きな影響

この制度変更が実施されると、日本社会に大きな変化を与えることが予測されます。今後予測されることを、現在の状況を踏まえて紹介します。なお、この内容は当社の考えであり、この通りのことが生じるかは分かりませんので、関係機関から公表されることに基づいた判断・行動をお願いします。

なお、今回の制度変更は、「移民の拡大」ということで、政治家の中には反対の意見を持つ方もあり、どのような形で法整備が行われるかは今後議論がなされますので、実施までは時間がかかると思われます。

 

1 技能実習制度はどうなるか

推察:技能実習制度は廃止になる

技能実習制度は、形を変えながら30年以上続いている制度です。当初の目的は「発展途上国の若者に日本の主に製造の技能を学び、それを帰国後に活用して母国の発展に寄与する」ことでしたが、実態は低賃金の労働力としてこの制度を活用する企業が多くあります。

賃金や残業手当の未払い、長時間残業などの労働条件の問題や職場からの失踪それにより不法滞在や不法就労などの問題が指摘され、見直しが検討されています。

検討の中では、「特定技能制度」の充実により、技能実習制度を段階的に廃止(5年間で)するとの話も出ています。近い将来に技能実習制度は廃止され、現場で働く外国人材の活用は特定技能に集約されると考えています。

 

2 特定技能の「既存14業種」から増えるか

推察:今後業種は順次拡大する

昨年の自民党の部会で、「コンビニエンスストア」を特定技能に加え、「トラック運送や配送荷物の仕分け」「産業廃棄物処理」を特定技能の対象として検討することが報道されていました。

特定技能の追加の記事はこちら

その際、法制化は見送られましたが、技能実習制度の廃止の検討とともに、技能実習を行っている業種を特定技能制度に加えていくと思われます。

 

3 外国での特定技能試験の拡大

推察:外国での特定技能試験(日本語検定含む)は増える

現地での特定技能試験が増えることにより、外国での日本語や技能の養成学校は増えると予測します。

外国で特定技能の資格を取り、日本企業が書類選考、面接(現地orWEB)を行い、採用を決める形が標準になると考えられます。この教育や日本企業への特定技能人材の紹介は、現在の技能実習制度の「送出し機関」が担う可能性が高いと思います。

 

 

4 日本語学校や専門学校への影響

推察:日本国内の日本語学校や専門学校の入学生は激減する

日本で働きたい方は、上記の現地の学校で学び、特定技能の資格を取り、日本に来るのが主体になると思います。日本で高度な学力を身につけたい方だけが日本に留学することになると思います。

ただし、特定技能で日本で働いて、ある程度経済的に余裕ができた方が、大学などに入り、その学歴で「技術・人文知識・国際業務」などの高度人材の就労ビザに切り替えるパターンが増える可能性もあります。

 

5 外国人への事業承継の広がり

推察:農業や外食業、製造業などで外国人が事業を承継することが増える

現在、日本は、人口減少などにより「後継者不足」が問題になっています。特に農家では高齢化が進み、跡継ぎがいなく、廃業を選択される方が増えています。今回の制度変更で、外国人が長く農業に従事することができれば、外国人が跡を継ぐことは十分考えられます。

外食業や製造業でも優秀な外国人が事業を継承する可能性もあります。

 

6 自治体の負荷の増大

推察:外国人の子どもが増え、その教育体制の整備で自治体の負荷が増える

特定技能2号では、家族の帯同が認められます。これにより、外国人の子どもが急速に増えます。農業を主体としている自治体は小規模な市町村が多いと思われますので、その子ども達の教育体制を整えることはかなり難しくなります。企業側に取っては、優秀な労働力を確保できるメリットはありますが、生活を支える自治体の負担は増えます。

 

 

 

今回の制度変更は、日本の社会全体に与える影響は非常に大きくなることが予測されます。そのため、制度変更に伴って発生すると思われる課題を総合的に抽出し、この課題に対する施策を検討し、施策の実行に十分な時間を確保する必要があると考えています。

当社では、外国人材の活用の支援(登録支援業務・人材紹介・各種手続き)を行う中で、これからの動向を注視し、必要に応じてビジネスモデルの変革を行っていきます。

 

 

 

 

最新のニュース&コラム
2020年の留学生:国内就職の状況
外国人の就労「無期限に」~特定技能制度の拡充~
「特定技能」制度の進捗状況(2021年9月末時点)
外国人の入国緩和に動き出す
外国人材の求職情報:2021年11月1日
外国人の不法滞在の状況:2021年7月1日時点
外国人・来日足止め「37万人」:人手不足がより深刻に
コロナの影響で日本にいる外国人数の減少が続く
コロナの影響で日本にいる外国人数9年ぶりに減少:2020年末
コロナで入国制限、日本に来れない留学生
カテゴリ
留学生(15)
入管白書から(20)
代表者ブログ(16)
特定技能(18)
問合せ一覧(2)
外国人関連の新聞記事(19)
技能実習(17)
お知らせ(40)
国際結婚ビザ(6)
定住者ビザ(1)
家族滞在ビザ(4)
就労ビザ申請(38)
高度専門職制度(6)
外国人の起業(13)
永住申請(4)
帰化申請(6)
その他(9)